転職支援をしている総務人事歴12年の斉藤です。
明確な定義ではありませんが、半年や1年など短期間で転職し、転職回数が4回を超える転職者を、人事部は「 ジョブホッパー 」や「 転職ドリーマー 」と呼ぶことが多いと言えます。
ジョブホッパーは、40代からの中途採用市場で敬遠されることがほとんどです。
そもそも論として「 面接する時間も無駄だ 」と中途採用の募集要件に転職回数3回以内などという要件をつけて、「 ジョブホッパー 」を採用検討対象から排除する企業が多いのが現実ではないでしょうか?
ジョブホッパーと疑われれば40代からの転職は失敗する
ジョブホッパーに対する懸念としては、次の3点を挙げる採用担当者が多いと私は考えています。
1.過去の経歴から見て、今回の転職においても長期勤続が見込めないという懸念
2.忠誠心が足りないから扱いにくいという懸念
3.40代になってもキャリア形成ができていないという疑念
果たしてこれは本当なのでしょうか?「 ジョブホッパー 」は問答無用で、採用検討対象から排除すべきなのでしょうか?
私は、私自身キャリアを形成するために転職を繰り返してきた経験から、これらの懸念事項のいずれも間違っており、採用検討対象から決して排除してはならないと考えています。
確かに、在籍期間が短く、転職回数が多いから「 ジョブホッパー 」と呼ばれるので、そう呼ばれない人に比べて、すぐ辞めてきたと言えるのは確かなことです。
しかし、だからといって、採用検討対象から、最初から外すべきなのでしょうか?
極端な例ですが、勤続期間は長いがパフォーマンスが上がっていない人と、勤続期間は短いがパフォーマンスを上げた人とで、どちらが会社に貢献していると考えるべきでしょうか?
誰の目から見ても明らかに後者ではないでしょうか?
それにもかかわらず、過去の職歴の勤続期間の長さで、採用検討対象かどうかを決めるということは、相変わらずパフォーマンスではなく勤続期間の長さで評価するという考え方から、日本の社会全体が抜け出ることができていないのではないかとの疑問が残ります。
私は今後、さらに雇用形態は多様化し、数年の間にフリーランスが急増すると考えています。
相変わらず総務や人事は保守的な傾向にある
最も市場の動きに敏感であるべき人事部採用担当者が、中途採用の現場で相変わらず勤続期間の長さで評価するというような時代遅れの発想に留まっているのであれば問題は深刻です。
次に、「 ジョブホッパー 」は所属する会社に対する忠誠心がないから、入社してもマネージしづらいだろうという懸念についてです。
私個人の意見ですが、この見解は自社のマネジメントの自信のなさを表しているに過ぎません。
そんな理由で、採用検討対象から外すとは、なんと自社内の都合で動いている会社か、なんと変革意思のない会社か、としか思えません。
採用検討対象から外す前に、履歴書や職務経歴書を熟読し、短いながらもその会社でどの程度のコミットの具合で、どの程度のパフォーマンスを果たしたかを確認すれば良いのでしょう。
その手間もかけられないというのであれば、それほど、応募者が殺到しているのでしょうか?そのような企業は、ごく一部の超優良・人気企業に限るのではないでしょうか?
それにもかかわらず、採用検討対象から外すというのであれば、それは、人事部の手抜きとしか思えません。
40代ジョブホッパーはキャリア形成ができていない?
「 ジョブホッパー 」は40代になってもキャリア形成ができていないという懸念もよく聞く話しです。キャリア形成できているかどうかは、転職回数で決まるのでしょうか?
1つの会社で15年勤続していれば、キャリア形成できていると言えるのでしょうか?私は正反対ではないかと考えます。
極端な例でしょうが、1社でビジネスパーソンの生涯を終えた人たちの中で、直ちに、他の企業で通用する人がどの程度いるのですか?
そもそも、転職市場に出ることができずに1社に留まっている人々も少なからずいると私は考えています。
念のために言っておきますが、私は決して転職をしたことのない人々に対して否定的な印象を持っているわけではありません。
40代は勤続が長ければキャリアが築けているのか?
勤続が長ければキャリアが築けているはずだという仮説が間違っており、勤続が長い事実、すなわち、転職回数が少ないことで採用検討対象を決めるべきではないということを主張したいだけなのです。
何を隠そう、私自身、世間の定義にあてはめれば、「 ジョブホッパー 」そのものです。25年近いビジネスパーソンとしての経験の中で、経験した会社は6社です。
応募要件に転職回数が3回以内などと書かれている企業のポジションへ、それを承知で応募し、自動的な「 今後のますますのご活躍をお祈りいたします 」というお祈りメールを受信したことは、数えきれないほど経験してきました。
しかしながら、私は転職する度に短期でキャリアを上げ、さらに次のステップへ進み得たと自負しています。
私は「 ジョブホッパー 」の全てを採用すべきだと言っているのでもありません。
「 ジョブホッパー 」だという理由だけで、採用検討対象から外すべきではない
「 採用検討対象として、仮に短期でもパフォーマンスを上げたか、貢献したか、キャリア形成できているか、履歴書・職務経歴書を熟読すべきである 」
ということを、声を大にして言いたいだけなのです。
そして自分が、世間でいうところの「 ジョブホッパー 」に当てはまりそうだと思う人や、一度でも転職回数を理由にお祈りメールを受け取ったことのある40代からの中高年は「 ジョブホッパー 」こそキャリア開発のモデルであるということを、我が身を持って示していきませんか?